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ダイワハウスの換気システム「風なびES」「風なびRXⅡ」のカビ対策|湿気と結露のリスクとは?

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ダイワハウスの「風なびES」「風なびRXⅡ」で家中快適!換気システムでカビ知らず

ダイワハウスの「風なびES」「風なびRXⅡ」で家中快適!換気システムでカビ知らず

2025/03/01

こんにちは、カビバスターズ福岡です。
ダイワハウスの住宅は、省エネ性能と快適性に優れた高気密・高断熱設計が特徴で、多くの家庭に採用されています。その快適な住環境を支える重要な設備が換気システムです。標準採用されている「風なびES」(第3種換気)と、オプションで導入可能な「風なびRXⅡ」(第1種換気・熱交換型)は、それぞれ異なる換気方式を採用し、計画的な換気で住まいの空気を管理しています。

しかし、どんなに高性能な換気システムを導入していても、カビ発生のリスクはゼロではありません。実際、「ダイワハウスの住宅でカビが発生した」「換気をしているのに結露する」といった報告も見られます。これは、換気の使い方やメンテナンス不足、湿気の管理方法に問題があるケースが多いからです。

本記事では、「風なびES」「風なびRXⅡ」の特徴と換気の仕組み、カビ発生のメカニズム、そして適切な湿気管理・メンテナンス方法について詳しく解説します。住宅メーカーや施工業者の皆様が、ダイワハウスの住宅を長持ちさせるための適切な換気管理・カビ対策の知識を深める一助になれば幸いです。

ダイワハウス

https://www.daiwahouse.co.jp/

目次

    住宅メーカー・施工業者・設計士向け解説:ダイワハウス換気システム「風なびES」「風なびRXⅡ」とカビ発生リスク

    はじめに

    近年の住宅は高気密・高断熱化が進み、24時間換気の重要性が増しています。特にダイワハウスの「xevo(ジーヴォ)シリーズ」に代表される住宅は気密性・断熱性能が高く、外気に頼らず室内環境を保てる一方で、換気が不十分だと湿気がこもりカビ問題につながるリスクがあります。実際、インターネット上でも「ダイワハウス カビ問題」といった声が見られるように、高性能住宅では換気不足による室内のカビやダニ発生が課題となっています​。こうしたカビ問題は住宅の耐久性や居住者の健康被害にも直結するため、計画的な換気と湿度管理が欠かせません。

    日本では2003年の建築基準法改正により新築住宅への24時間換気設備の設置が義務化され、常に一定の換気量(0.5回/時以上)の確保が求められています。24時間換気の役割は、生活臭や二酸化炭素を排出するとともに、日常生活で発生する湿気を外へ逃がし、結露やカビの発生を防ぐことです。適切な換気は壁内部の腐朽や構造体の劣化も防ぎ、住宅の長寿命化に寄与します。高気密・高断熱の住宅ほど計画換気の効果が発揮され、逆に換気不良では湿度が上がりやすくカビの発生リスクが高まります​。

    こうした背景から、ダイワハウスでは独自の24時間換気システムとして「風なびES」(第3種換気)と「風なびRXⅡ」(第1種換気)を提供しています。風なびESは多くの地域で標準採用されている省エネ型換気システムで、各居室に給気口を設置し機械排気で空気を入れ替える方式です。一方、風なびRXⅡは熱交換機能を備えた高性能な全館換気システムで、寒冷地や大気汚染が気になる地域向けのオプションとして位置付けられています​。本記事ではこれらダイワハウスの換気設備の特徴とカビ発生リスクについて専門的かつ具体的に解説し、住宅メーカー・施工業者・設計士の方々が適切な換気設計・施工を行うためのポイントを紹介します。

    「風なびES」(第3種換気)の特長とカビリスク

    まず、第3種換気とは「給気は自然に、排気は機械で行う」換気方式を指します​。外壁や窓枠等に設けた給気口(自然給気口)から各室に外気を取り入れ、台所や浴室・トイレなどに設置した換気扇で室内の空気を強制排出する仕組みです。ダイワハウスの風なびESはこの第3種換気を採用した24時間換気システムで、各居室で必要な換気回数(空気の入れ替え回数)を確保しつつ省エネ運転が可能な点が特徴です​。給気口にはハイブリッド給気機構が備わっており、季節に応じて自動で風量を調整することで快適性と省エネを両立します​。例えば、春~秋の比較的外気温が穏やかな時期には給気ファンを停止して自然換気とし、冬場の寒冷時にはセンサーで必要に応じファンを作動させて機械給気する仕組みです​。これにより無駄な通風による冷暖房損失を抑えつつ、各部屋に十分な新鮮空気を供給できます。また給気口には高性能フィルターが組み込まれており、スギ花粉を約82%捕集できるため屋外の花粉やホコリの侵入を軽減します​。排気側は浴室や洗面所の換気扇等を24時間微弱運転させることで、住宅全体に緩やかな負圧(室内を外気より低圧に保つ)を生み出し、給気口から各室へ外気を引き込む空気の流れを作ります。

    風なびESの動作原理をまとめると次のようになります:

    ・各室の給気口(ハイブリッド給気):基本は外気圧と室内外温度差を利用した自然給気。冬季など通風不足時には内蔵ファンが自動運転し強制的に外気を導入。フィルターで花粉や塵埃を除去したクリーンな空気を各居室に供給。

    ・排気ファンによる強制排気:浴室・トイレ・キッチン等に設置された換気扇を24時間連続運転(弱運転)し、室内の汚れた空気や湿気を各所からダクト経由で屋外へ排出。家全体の換気経路を確保し、常に空気が循環するよう計画。

    ・室内の気圧バランス(負圧):排気量>給気量となる設計により室内は常時わずかに負圧となる。これによりドアや壁の隙間を通じて家全体で空気が均等に流れるようになり、生活臭や二酸化炭素を効率よく排出。

     

    しかし、第3種換気で注意すべきは換気不足による湿気・カビのリスクです。風なびES自体は必要換気量を満たすよう設計されていますが、実際の運用で給気口や換気扇が適切に機能していないと問題が生じます。例えば、冬場に「部屋が寒く感じる」「換気口から冷気が入る」といった理由で住まい手が給気口を閉じてしまったり、フィルターの目詰まりを放置したりすると、一気に換気量が不足してしまいます。その結果、室内の湿度が下がらず滞留し、壁や天井で結露が発生、やがてカビが繁殖する危険性があります​。特に暖房使用中の冬場や梅雨時期は、日常生活で出る水蒸気(調理中の湯気、入浴後の湿気、呼気など)が排出しきれず室内にこもりがちです。高気密住宅では湿気の逃げ場が少ないため換気扇停止により室内湿度が急上昇し、わずかな冷えた表面(窓ガラスや外壁側の角部、点検口まわりなど)に結露しやすくなります。実際に、あるダイワハウス住宅では冬の夜間に加湿器を使用しつつ暖房をつけていたところ、風なびESの給気口付近の天井に大量の結露水滴が発生した例も報告されています​。このケースでは断熱が不十分な点検口付近に冷気が集まり、室内湿度が高かったため露点に達してしまったことが原因と考えられています。結露箇所は放置すると黒カビが発生・増殖し、建材の腐食やシミの原因となります。

    また、第3種換気の負圧運転にも留意が必要です。負圧そのものは給気を促すためのものですが、設計通りに給気経路が機能していないと想定外の場所から空気を吸い込む可能性があります。例えば、給気口を塞いだ状態では換気扇が生み出す負圧により、建物の隙間や床下・壁内から空気(時には湿気を帯びた空気や土壌臭を含む空気)を吸い込んでしまうことがあります。これによって換気経路が乱れ、必要な換気量を確保できないだけでなく、構造体内部に湿気を引き込んで壁内結露やカビ発生を招く恐れもあります。特に気密性が高い住宅ほど隙間風は起きにくい反面、いったんこうした異常経路が生じると発見しづらく、長期にわたり湿気が蓄積してしまうリスクがあります。

    以上のように、風なびES(第3種換気)はシンプルで省エネ性に優れた換気方式ですが、適切な運用と管理を怠ると第3種換気ならではのカビ発生リスクが生じます。住宅メーカーや施工業者は、引き渡し時に住まい手へ給気口を閉じないよう指導すること、フィルター清掃の重要性を説明することが肝要です。また設計段階でも、各居室やクローゼット内の通気経路(ドア下部の隙間や通気口の設置)を確保し、家全体で計画通りの換気流路が維持されるよう配慮する必要があります。

    「風なびRXⅡ」(第1種換気)の特長とメリット・リスク

    次に、第3種換気との比較として第1種換気について解説します。第1種換気とは「給気も排気も機械で行う」方式であり、換気ユニット内に熱交換器を備えることで給排気時の熱損失を低減できるのが大きな特長です​。ダイワハウスの風なびRXⅡは全館熱交換型の第1種換気システムで、寒冷地や幹線道路沿いなど外気環境が厳しい住宅でも室内の快適性と省エネルギー性を両立するよう設計されています​。

    ・風なびRXⅡの仕組みと利点:風なびRXⅡは一般に屋根裏などに設置される換気ユニットによって家全体の換気をコントロールします。ユニット内には給気ファンと排気ファン、および熱交換器が内蔵されており、排気される暖かい空気の熱エネルギーを回収して給気側の外気を温める(夏場は逆に冷やす)ことが可能です​​。これにより冬場でも外気を室温に近づけてから取り込むため、換気による室温低下を最小限に抑えられます。実際、風なびRXⅡは換気時の熱ロスを大幅に削減し、冷暖房で調整した室内の快適温度を損ないにくい設計になっています​。その結果、暖房期間の室温低下によるヒートショックリスク低減や、夏場の冷房効率向上といったメリットが得られます。また給気経路には高性能フィルターが組み込まれており、外気中の花粉や粉塵はもちろんPM2.5レベルの微小粒子までしっかり除去可能です​。窓を開けずとも新鮮な空気を取り入れられるため、外部の騒音や排ガスの侵入を防ぎつつ空気質を保てる点も利点です。

    第3種換気との違いとして、風なびRXⅡは常に給気量と排気量がバランスするよう運転するため、住宅内の気圧はほぼ中性(わずかに正圧または負圧に調整)に保たれます。これにより、第3種のような大きな負圧は発生しにくく、隙間風による想定外の湿気侵入を抑制できます。また熱交換により室内の湿度も極端には変化しにくい点も特徴です。一般的な全熱交換型の場合、温度だけでなく湿度もある程度交換するため、冬季は排気される湿った空気中の水分を給気側に戻し加湿効果をもたらし、夏季は逆に排気側に水分を逃がして給気を減湿する働きがあります。つまり風なびRXⅡは、省エネ性・快適性・湿気管理の面で第3種換気より優れた性能を発揮しやすいと言えます。実際、ダイワハウスでも寒冷地や都市部ではこの風なびRXⅡの採用を推奨しており、標準仕様の風なびESからグレードアップすることで温熱環境の質を高めることができます​。

    しかし、第1種換気にも留意点やリスクは存在します。まずシステムが高度になる分、機器の定期メンテナンスが非常に重要です。風なびRXⅡでは給気・排気ともダクトとファンを通るため、フィルター類の定期清掃・交換を怠るとホコリ詰まりで風量が低下し、計画換気量を維持できなくなります。例えば給気フィルターが目詰まりすると新鮮空気の供給量が不足し、第3種換気以上に換気不良となる恐れがあります(第1種は機械給気に全面依存するため)​。またフィルターが汚れた状態では通過する空気に雑菌やカビ胞子が付着し、ダクト内部や熱交換素子に蓄積して換気システム自体がカビの温床となるリスクもあります。実際、長期間フィルター交換をしていない熱交換換気システム内部でカビが繁殖し、給気時にカビ臭や胞子を室内に撒き散らしてしまった事例も報告されています。こうした事態を防ぐには、2~3か月に1度程度のフィルター掃除(掃除機での吸引や水洗い)や、メーカー推奨の交換時期(風なびRXシリーズでは給排気フィルターは2~3年毎を目安​)で新品に取り替えることが必要です。

    さらに、第1種換気は住宅全体をダクトで繋ぐ構成上、その施工精度が性能に直結します。ダクト接続部の気密不良や断熱不良があると、換気経路から外れて屋根裏や壁体内に空気漏れが生じ、場合によってはそこで結露・カビが発生することも考えられます。特に排気ダクトの結露水が断熱不十分な箇所で発生し、カビ臭や水シミの原因となるケースもゼロではありません。風なびRXⅡでは機器そのものにドレン(結露水排出)処理が施されていますが、施工段階でダクト断熱や勾配付けなどの配慮が必要です。また停電時や機器故障時には換気が全面停止してしまう点もリスクと言えます。高気密住宅では自然換気が期待できないため、停電が長引く場合は一時的に窓開けで代替換気を行うといった対処も必要になるでしょう。

    このように、風なびRXⅡ(第1種換気)は優れた換気性能と快適性向上のメリットがある反面、高度な機械設備ゆえの管理リスクも伴います。カビ発生リスクを抑えるためには、以下のような運用上のポイントを守ることが重要です:

    ・連続稼働の徹底:24時間換気はその名の通り常時運転が前提です。省エネ目的でファンを停止したり弱め過ぎたりしないよう注意し、特に湿度の高い季節や就寝中でも換気を止めないこと。

    ・フィルター・熱交換器の清掃:給気フィルターは数ヶ月に1度は点検清掃し、ホコリが付着していたら速やかに掃除または交換する。排気側のフィルターや防虫ネット、熱交換エレメントもメーカー推奨サイクル(数年ごと)で専門業者による点検・清掃を行い、カビや汚れをリセットする​。

    ・適度な湿度管理:第1種換気は湿度もコントロールしやすいとはいえ、過度の加湿は禁物。特に冬場に加湿器を使用する際は室内湿度が高くなり過ぎないよう(目安:相対湿度40~60%)調整し、必要に応じて換気量を一時的に増やす。また夏場は換気だけでは除湿が難しいため、エアコンの除湿運転などと併用して室内をカラッと保つよう心掛ける。

    ・異常時の対応:換気風量の極端な低下やカビ臭に気付いた場合、速やかに点検を実施。フィルター清掃や部品交換で改善しない場合はメーカーのサポートに連絡し、プロの点検・修理を受ける(ダイワハウスでは24時間サポート受付あり​)。

     

    これらの対策により、風なびRXⅡの恩恵を最大限に活かしつつカビのリスクを低減した運用が可能となります。

    ダイワハウスの換気設備の選び方

    住宅の換気方式を選定する際には、「風なびES」と「風なびRXⅡ」のどちらが適しているかを建築地の環境やお客様のニーズに応じて判断することが大切です。以下に、地域・気候・建築条件を踏まえた選択のポイントを整理します。

    ・地域の気候条件で選ぶ:ダイワハウスでは、比較的温暖な地域(省エネ基準地域区分4~8)には標準仕様として第3種換気の風なびESを採用し、寒冷地(地域区分1~3)や都市部の塵埃が多い地域には第1種換気の風なびRXⅡを推奨しています​。これは前述の通り、寒冷地では熱交換型でないと冬季の熱損失が大きく快適性を損ねやすいためです。また都市部では排気ガスやPM2.5対策として高性能フィルター付き換気が望まれるため、第1種換気が適しています。したがって、建築地の気候区分や周辺環境の空気質を考慮し、風なびES (第3種) か 風なびRXⅡ (第1種) を選定します。

    ・住宅の規模・間取りと断熱性能:小規模でシンプルな間取りの住宅や、比較的開放的なプラン(各室が廊下などでつながり空気が回りやすい)の場合、風なびESでも十分に全館換気の効果を発揮できます。逆に部屋数が多く間仕切りが複雑な場合や、地下室・吹き抜けがある場合などは、ダクトで各室に確実に給気できる風なびRXⅡの方がムラなく換気できる可能性があります。また極めて高断熱・高気密(UA値やC値がトップクラス)の住宅では、隙間風がほぼ期待できないため計画換気のみが頼りとなります。この場合、第1種換気を採用しておくと万一居住者が誤って給気口を塞いでも一定の換気が維持されるなど、安全策としても有効です。断熱性能が高い住宅ほど第1種換気のメリット(熱損失の低減)が大きくなることも念頭に置きましょう。

    ・コストとメンテナンス性:初期費用やランニングコストも選択の重要な要素です。一般に第1種換気システム(風なびRXⅡ)は第3種換気よりも本体価格・施工費が高く、機器の電力消費も大きくなります(風なびRXⅡの電気代目安は月約1,000円前後とされ、第3種の風なびESは月200~300円程度​)。予算に制約があるプロジェクトや、施主がランニングコストを気にされる場合は、風なびESを基本としつつ適切な断熱・通風計画で対応する選択肢も有り得ます。ただし、将来的な光熱費削減や補助金(高性能住宅向け)の要件を考慮すると、第1種換気の導入が有利になるケースもあります。またメンテナンスに関して、風なびESは各給気口と換気扇フィルターの掃除程度で容易ですが、風なびRXⅡはフィルター清掃に加え数年ごとの専門点検が必要です。この点を施主に説明し、手間を惜しまない方であれば第1種、メンテナンス負荷を極力減らしたい方には第3種といった具合に、施主の意向も踏まえて選択すると良いでしょう。

    ・快適性や健康志向:花粉症やハウスダストアレルギーをお持ちのご家族、高齢者や小さなお子様がいるご家庭では、空気質への配慮が特に重要です。風なびRXⅡは高機能フィルターによる空気清浄効果や、外気を直接吸い込まない快適性(夜間に窓を開けず静かに換気できる等)で健康志向の方に適しています​。一方、自然に近い形で緩やかに換気したい、室内が乾燥し過ぎるのを防ぎたいといったニーズにも風なびRXⅡは応えられます(全熱交換で適度な湿度が保たれる)。逆に「エアコンや機械に頼りすぎず、季節の外気を取り入れたい」という方針であれば、第3種換気+適宜窓開け換気を組み合わせる手法も考えられます。住宅のコンセプトや施主のライフスタイルに合わせて、どちらの換気方式が住まい手の満足度を高められるかを検討することが大切です。

    以上を踏まえ、設計段階では風なびESとRXⅡの両プランをシミュレーションし、それぞれの利点・デメリットを施主に説明した上で選択するのが望ましいでしょう。ダイワハウスの場合、標準は風なびESですがオプションで風なびRXⅡにグレードアップ可能であるため​、地域条件や施主要望によって柔軟に換気計画をカスタマイズできます。

    最後に、換気設備選定時にはメンテナンス計画もセットで検討しておきます。例えばフィルターの交換入手性(ダイワハウスでは専用フィルターを通販サイトで提供​)や、将来的な換気ファン・熱交換器の交換時期・費用なども事前に把握し、長期的な住宅維持計画に織り込んでおくことが重要です。住宅メーカー・施工業者としては、これらを総合的に判断して最適な換気方式を提案することで、施主の信頼獲得と住まいの品質向上につながるでしょう。

    カビ発生を防ぐための湿気管理と換気のポイント

    いくら優れた換気設備を備えていても、日常の湿度管理が適切でなければカビ対策は万全とは言えません。ここでは住宅内部の湿気コントロールと換気に関する具体的なポイントを解説します。設計・施工者が施主に伝えるべきアドバイスとしてもご活用ください。

    ・室内の適正湿度を保つ:カビの繁殖しにくい湿度環境は相対湿度で40~60%程度とされています​。冬季は加湿器の使用で乾燥を和らげることがありますが、加湿のしすぎには注意が必要です。室内湿度が高すぎると結露の原因となり、カビやダニの温床になります。例えば結露が発生しやすい窓際や外壁面では、湿度60%を超える環境が続くとカビ発生リスクが高まります。暖房時でも適度に換気を行い、加湿器は湿度計を見ながら弱めに調整するなどして湿度過多を防ぎます。逆に夏場は日本の気候では外気湿度が高いため、換気だけでは湿度が下がらないこともあります。梅雨時や夏季はエアコンの除湿運転や除湿機を併用して湿度コントロールし、換気と除湿のバランスで室内を快適・清潔に保ちましょう。

    ・定期的なフィルター清掃・交換:換気システムのフィルター類はホコリや花粉を捕集する役割がありますが、裏を返せば時間とともに汚れが蓄積しカビの温床になり得ます。特に給気フィルターは常に外気に触れるためカビ胞子が付着しやすく、放置するとフィルター面で繁殖したカビが室内に送り込まれてしまいます。これを防ぐには、少なくとも半年に1回(できれば3ヶ月に1回程度)フィルターを点検し、必要に応じて掃除機で埃を吸い取ったり水洗い・交換したりすることが重要です。ダイワハウスの換気システムの場合、給気口フィルターや排気口の防虫ネット、熱交換器フィルターなど部位ごとに推奨交換時期が設定されています​。引き渡し時にこれらのメンテナンススケジュールを施主に説明し、実施しやすいようフィルターの場所やお手入れ方法を示しておきましょう。フィルター清掃が行き届いていれば換気風量も安定し、「換気不足によるカビ発生」​のリスクを確実に下げることができます。

    ・給排気口の管理と通気確保:住まいの換気経路上にある給気口・排気口まわりの状態も定期的に確認します。家具やカーテンで給気口を塞いでいないか、換気口付近に埃が溜まっていないか、排気グリルに汚れが付着して風量が落ちていないかなどをチェックし、必要に応じて清掃します​。特に高所にある天井換気口(第1種換気の給気吹出口など)や浴室天井の吸気グリルは見落とされがちなので、脚立を使ってでも年に一度は清掃を促しましょう。換気扇本体についても、レンジフードや浴室換気乾燥機など油分や埃が付きやすい箇所は分解清掃やフィルター交換を定期的に行います。これらの手入れにより計画換気量と空気の流れが維持され、室内隅々まで換気が行き渡ることでカビの発生しにくい空気環境を保てます。

    ・計画換気を活かす建築上の工夫:新築・リフォーム時には、換気計画と湿気対策を一体で考慮した設計が重要です。例えばクローゼットやシューズボックスなど閉鎖的な空間には、意図的に隙間やガラリ(通気口)を設けて空気が滞留しないようにします。第3種換気の場合、各居室のドア下に十分な隙間(換気用アンダーカット)を設けるか、必要に応じて適当な位置に換気用スリットを設けることで、ドアを閉めていても空気が流れるようにします。これにより一部屋だけ湿度がこもるのを防ぎます。また、北面の押入れや壁内は結露しやすいポイントなので、断熱強化や防湿シート施工を適切に行い、壁内結露によるカビ発生を予防します。加えて、浴室や脱衣室など大量の湿気が発生する場所は換気扇の配置や風量設定を綿密に計画し、短時間で湿気を排出できるようにします。設計段階で換気シミュレーションを行い、死角となる空間がないか確認することも有効です。リフォーム時には既存住宅の換気経路を再評価し、断熱改修によって気密性が増す場合は換気設備の増強や追加設置を検討します。換気と断熱・気密は表裏一体の関係であり、片方だけを強化するともう一方に影響が出るため、常に両者をバランスよく計画することがカビ対策のポイントです。

     

    以上のような湿気管理と換気のポイントを実践すれば、換気方式に応じた最適な湿気管理・カビ対策が可能となり、住宅内のカビ発生リスクを大幅に低減できます。施工業者や設計士は、これらの知見を施主にもわかりやすく伝え、日常的なメンテナンスの重要性を共有することが肝要です。

    まとめ

    高気密高断熱住宅においてカビを防ぐには、適切な換気計画と湿度管理が欠かせません。本記事では、ダイワハウスが提供する換気設備「風なびES」(第3種換気)と「風なびRXⅡ」(第1種換気)の特徴とカビ発生リスクについて解説しました。ダイワハウスの換気設備を正しく理解し、適切に運用・管理することでカビの発生を防ぐことが可能です。第3種換気である風なびESはシンプルで省エネ性能に優れますが、換気不足に陥らないよう給気口やフィルターの管理に注意が必要です。一方、第1種換気の風なびRXⅡは換気性能・快適性が高くカビ対策にも有利ですが、その性能を維持するためのメンテナンスを怠らないことが重要です。それぞれの換気方式に応じた最適な湿気管理・カビ対策を講じることで、居室内のカビや結露のリスクを最小限に抑え、住宅の長寿命化と居住者の健康を守ることにつながります。

    住宅メーカー・施工業者の立場としては、設計段階から換気と断熱・気密のバランスを考慮し、適切なシステム選定と配置計画を行うことが求められます。施工においてもダクトの断熱・気密施工や機器設置の確実な実施など、細部まで品質を確保することで換気設備本来の性能を発揮させることができます。また引き渡し時には、施主に対して換気設備の使い方やお手入れ方法を丁寧に説明し、カビ問題を未然に防ぐ知識を共有しましょう。住宅のカビは一度発生すると除去が大変で建材にも悪影響を及ぼしますが、正しい換気計画と日常管理によって十分に予防可能です。ぜひ本記事の内容を踏まえ、住まい手にとって安心・快適でカビの生えにくい住環境づくりにお役立てください。​

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