住友林業の換気設備でカビは発生する?第3種・第1種換気のリスクと湿気対策のポイント
2025/02/24
こんにちは、カビバスターズ福岡です。
住友林業の住宅は、木造の美しさと耐久性を兼ね備えた設計が特徴で、多くの家庭で採用されています。換気システムとして、平屋~2階建てでは第3種換気設備(自然給気+機械排気)、3階建て住宅では第1種換気設備(非熱交換型)が標準採用されており、それぞれの住宅に適した換気設計がなされています。
しかし、どんな換気方式であってもカビ発生リスクはゼロではありません。特に、第3種換気では換気量不足や結露、第1種換気ではダクト汚れやメンテナンス不足が原因となり、カビが発生するケースが見られます。実際に「住友林業の住宅でカビが発生した」といった報告もあり、換気設備の適切な管理が重要です。
本記事では、住友林業の換気設備の特徴とカビ発生のリスク、そしてカビを防ぐための湿気管理・換気対策について詳しく解説します。住宅メーカー・施工業者の皆様が、適切な換気計画を立てる際の参考になれば幸いです。
住友林業
目次
はじめに
住友林業は木造住宅の大手メーカーであり、木材の温もりを生かした設計が特徴です。木造住宅は湿気に弱く、過剰な湿気は構造材の劣化やカビ発生の原因となります。そのため、住宅の長寿命化のためには室内の湿度管理が不可欠であり、24時間換気システムが重要な役割を果たします。日本の住宅ではシックハウス対策として換気設備の設置が義務化されており、計画的な換気で室内の汚染物質や湿気を排出し、カビやダニの繁殖を防ぐことが求められています。
住友林業の標準的な換気設備としては、第3種換気システムが採用されています。第3種換気とは各居室に設けた給気口(基本的に自然給気)から外気を取り入れ、浴室・洗面所・トイレなどに設置した換気扇で機械的に排気する方式です。一方、狭小地などで建てられる3階建て住宅では、十分な換気量を確保するために機械給気・機械排気を行う第1種換気システム(非熱交換型)が標準採用されています。本記事では、住友林業のこれら換気設備の特徴とカビ発生リスクについて詳しく解説し、第3種換気におけるカビ問題への対策や、3階建て住宅の第1種換気でも注意すべきポイントを紹介します。「住友林業 カビ問題」「第3種換気 カビ対策」「第1種換気 カビ発生」といったキーワードに関心のある住宅メーカー・施工業者・設計士の方々は、ぜひ参考にしてください。
住友林業の第3種換気設備の特長とカビリスク
◆ 第3種換気とは
第3種換気システムでは、各部屋の壁などに設けた給気口から外気を自然に取り入れ、室内の空気は換気扇(主に浴室やトイレのファン)で強制的に屋外へ排出します。給気口にはフィルター付きの新鮮空気取入口が設けられ、排気はダクトや壁付け換気扇を通じて行われます。住友林業の標準仕様では熱交換のないタイプが採用されており、外気をそのまま室内に導入し、室内の空気を直接排出します。この方式は機構がシンプルで初期コストが低く、設置やメンテナンスが容易というメリットがあります。各居室ごとに独立して給気・排気が行われるため、部屋間の臭いや空気が混ざりにくい点も利点と言えます。
しかし、熱交換を行わない第3種換気にはデメリットも存在します。まず、外気をそのまま取り入れるため夏は高温多湿な空気が侵入し、冬は冷たく乾燥した空気が直接入ってきます。その結果、室内の冷暖房効率が下がり、体感温度や湿度の変動が大きくなります。実際、住友林業の住宅は高断熱住宅と比べて「冬に寒い」と感じる声もあり、その一因として換気による冷気流入が指摘されています。また湿度管理の観点でも、夏場に多湿な外気を取り込むことで室内湿度が上昇し、冬場は乾燥しすぎる傾向があります。このように第3種換気はシンプルな反面、季節によって適切な温湿度コントロールが必要です。
◆ 換気不足と湿気・結露・カビのリスク
第3種換気システムで十分な換気量が確保できていない場合、室内に湿気がこもりやすくなりカビ発生のリスクが高まります。給気口や排気口が家具・カーテンで塞がれていたり、フィルターにホコリが詰まったりすると換気効率が低下し、空気が滞留して湿度が上がりがちです。相対湿度が60%を超える環境ではカビの繁殖が加速するとされるため、換気不良の空間はまさにカビにとって格好の住処となります。例えば北側の部屋や押入れの奥など換気が行き届きにくい場所では、換気不足により湿気が溜まってカビが発生しやすくなります。
また、冬場に室内外の温度差が大きいと窓や壁に結露が生じます。この結露水分はカビの栄養源となり、放置すると壁紙の裏や窓枠に黒カビが繁殖する原因になります。住友林業の第3種換気では機械的に給気温度や湿度を調節できないため、断熱不足の部分で結露が発生すると換気だけでは十分に乾燥させられず、カビ問題に直結する恐れがあります。結露は建物の劣化やダニ発生にもつながるため、特に冬季の湿気対策が重要です。
◆ 室内の気圧バランスと換気の流れ(負圧による問題)
第3種換気では排気ファンによって室内の空気を強制排出するため、室内はわずかに負圧(外気を引き込む圧力)になります。適切に設計された状態では、各給気口から新鮮な外気が入り、汚れた空気は効率的に屋外へ出て行きます。一方で、給気口が不足していたり目詰まりしていると、負圧状態の家は意図しない隙間から外気を吸い込むようになります。例えば給気口を住人が塞いでしまった場合、床下や壁内の隙間から空気を吸い込んで換気しようとするため、ホコリや湿気を内部に引き込んでしまいます。その結果、ダクトや壁内部に汚れが溜まりカビが発生するリスクが高まります。「給気口を塞ぐと汚れやカビが避けられない」という指摘もあり、意図しない経路での換気は衛生面でも好ましくありません。
負圧による換気の流れは、季節によって利点と欠点があります。冬場では室内の暖かく湿った空気が壁体内部に漏れ出すのを防ぎ、代わりに冷たい外気が隙間風として入り込むため、壁内での結露を防ぐ上では有利な面もあります。一方、夏場は湿度の高い外気が隙間から侵入しやすく、冷房で冷えた壁や床下に触れて結露を招く恐れがあります。実際、第3種換気の住宅では夏季に床下空間へ湿った外気が流入しやすく、断熱材が湿気を含んでカビが発生する事例も報告されています。床下は換気が不十分になりがちなため、湿った空気が滞留すると短期間で広範囲にカビが広がる可能性があります。以上のように、第3種換気設備はシンプルで扱いやすい反面、換気経路の管理や湿度コントロールを誤るとカビリスクを高めてしまうことに注意が必要です。
3階建て住宅の第1種換気(非熱交換)の特長とリスク
◆ 3階建て住宅で第1種換気が採用される理由
住友林業の3階建て木造住宅(ビッグフレーム構法など)では、第1種換気システム(機械給気+機械排気、熱交換なし)が標準仕様となっています。これは都市部の狭小敷地に建つ住宅でも必要な換気量を確保し、各階に満遍なく新鮮空気を行き渡らせるための措置です。3階建ての住宅は床面積が各階で小さく、外壁面積も限られるため、自然給気口だけで十分な換気量を得るのが難しい場合があります。また、高さ方向に空間が分かれているため上層階まで効率良く換気するには機械的な補助が有効です。そのため住友林業では、1・2階建てよりも換気設計が難しい3階建てに限り、給排気ともファンで行う第1種換気を採用しているのです。これにより、各階の各部屋にダクトを通じて計画的に給気し、狭小住宅でも法定の換気回数(一般に0.5回/時)を満たすよう設計されています。
◆ 第1種換気(非熱交換)のメリットとデメリット
第1種換気システム(熱交換なし)のメリットは、機械給気により計画通りの換気が行える点です。外部の風圧や温度差に左右されず、設計された風量を各室に届けられるため、室内空気の質を安定して保ちやすくなります。また原則として給気量と排気量がバランスするようファンを制御するため、家全体で大きな負圧・正圧が発生しにくく、隙間風や臭気逆流などのトラブルを抑えられます。3階建て住宅では1階から3階まで垂直方向の空気流通が悪くなりがちですが、第1種換気ならダクト設計により均一な換気が実現できます。こうした理由から、住友林業に限らず狭小3階建て住宅では第1種換気を選択するケースが多くなっています。
一方、熱交換を伴わない第1種換気にはデメリットもあります。最大の欠点は、こちらも外気をそのまま室内に取り入れるため夏冬の室内環境に与える負荷が大きいことです。基本的に第3種換気と外気導入という点では変わらず、暑い時期には暑い外気、寒い時期には冷たい外気を機械的に送り込むことになります。そのため冷暖房費用(光熱費)が嵩んだり、各室に給気口からのドラフト(冷風・熱風)感が生じる場合があります。さらに、給気と排気の風量バランスが狂うと室内が正圧または負圧に傾く恐れがあります。理想的には給排気量は等しく設定されますが、ダクト配管の長さや曲がり具合による抵抗差で実際の風量は偏る可能性があります。もし給気ファンが強すぎて室内が正圧になると、暖かく湿った空気が建物の隙間から壁体内に押し出され、冬場に壁内部で結露を招くリスクがあります。逆に排気が強すぎれば第3種換気同様に負圧となり、隙間風によるホコリや湿気の侵入リスクが高まります。
また、第1種換気は機器やダクト類が増える分、初期コストやメンテナンス項目も増加します。フィルターは給気口と排気口の両方に設置されるため定期的な清掃・交換が必要です。これを怠ると送風量が低下して計画換気量を下回り、換気不足からカビが発生しやすくなります。実際、ある高気密住宅で20年間換気システムをメンテナンスしなかったところ、給気フィルターが真っ黒に汚れ、熱交換素子(他社例)に大量のカビが発生していた事例も報告されています。熱交換なしでもフィルターやダクト内にホコリが溜まればカビの温床となりうるため、第1種換気でも定期的な手入れは欠かせません。さらに、給気ダクト内を通る外気が冬場に極端に冷えていればダクト表面に結露しうるため、断熱施工が不十分な場合はダクト周囲でのカビ発生にも注意が必要です。加えて、給排気口の配置次第では新鮮な空気が十分室内を循環しないまま直ちに排気されてしまう「ショートサーキット」現象も起こりえます。そのような換気計画上の不備があると、一部の部屋で換気不良となりカビが生えやすくなる可能性があります。以上のように、第1種換気だからといって万能ではなく、非熱交換型の場合は第3種換気と同様に湿度や清掃の適切な管理を行わなければカビ発生のリスクが残る点に注意が必要です。
◆ 第1種換気でも起こり得るカビ発生ケース
第1種換気システムでも、使い方や環境によってはカビが発生することがあります。例えば、換気ファンを連続運転せず間欠運転にしていたり、必要な換気回数を満たしていない場合、湿気が室内に溜まってカビが繁殖しやすくなります。また、先述のようにフィルターや給排気口の汚れ放置も大きな原因です。汚れたフィルターでは十分な外気を取り込めず換気量が不足する上、フィルター自体がカビ菌の温床となり得ます。さらに、第1種換気は各室への給気をダクトで行いますが、ダクト内部が長年清掃されないとホコリが蓄積し、そこに結露水などが加わればカビが生えることも考えられます。特に給気ダクトは常に外気にさらされるため湿度変化の影響を受けやすく、断熱不足のダクトでは夏場に外気中の湿気が内部で結露してカビが発生するリスクがあります。
他にも、機械給気ゆえのトラブルとして、ファンやモーターの故障・停止による換気不全が挙げられます。万一給気ファンが故障して停止すると排気ファンだけが動作する第3種換気状態となり、極端な負圧が生じてしまいます。この場合、給気口以外の隙間から大量の湿気を含んだ外気を吸い込む可能性があり、壁内や床下でのカビ発生に繋がるかもしれません。逆に排気側が故障すると正圧が強まり、湿った空気が建物内部に押し出される形で壁内結露の危険性があります。いずれにせよ、機械に依存する第1種換気では機器のメンテナンスや異常時の早期対応がカビ対策上も重要となります。以上の点から、3階建て住宅で採用される第1種換気システムにおいても、日常の管理と計画的な設備点検によりカビリスクを低減することが求められます。
住友林業の標準換気とオプションの違い
◆ 熱交換なしと熱交換型の違い(性能・コスト・結露リスク)
住友林業の標準仕様である第3種換気および非熱交換型第1種換気は、コストを抑えつつ必要な換気性能を満たすものですが、省エネ性能や快適性の面では熱交換型に劣ります。熱交換型換気システムは、給気と排気の空気が熱交換器を通る際にお互いの熱(および湿気)を交換する仕組みです。全熱交換型の場合、温度だけでなく湿度もある程度交換するため、夏は取り入れる空気を室内と近い温度・湿度に調整してジメジメした空気をそのまま入れずに済み、冬は乾燥しすぎない状態で給気できます。一方、熱交換をしない方式では前述の通り外気がそのまま入ってくるため、室内環境が外気の影響を強く受けます。この差は快適性だけでなく、結露やカビのリスクにも影響します。熱交換型は給気温度が緩和されることで室内表面との温度差が小さくなり、窓や壁での結露発生を抑制できます。逆に非熱交換型では冬場に冷気が直接入るため窓際で結露しやすく、夏場は湿度負荷が高まるため十分な除湿対策が必要です。
ただし、熱交換型にもデメリットはあります。機器代が高価で、設置コストが大幅に上がる点です。住友林業でも採用可能な全熱交換型第1種換気「e-キューブ(※仮称、e空調システムの一部)」は高性能なぶんオプション価格が数十万円(概ね70〜80万円程度)とされています。また、熱交換器は定期的なメンテナンスや交換が必要であり、フィルターも高性能なものが使われるためランニングコストがかかります。さらに、熱交換器自体にホコリが溜まると効率が落ちるだけでなくカビが生える恐れもあるため、長期的にはクリーニング等の維持管理をしっかり行う必要があります。一方で、近年の省エネ志向や高性能住宅の増加に伴い、熱交換型換気の導入メリットは大きく評価されています。特に寒冷地や高温多湿地域では、熱交換換気によって結露リスクや過乾燥・過湿リスクを低減できるため、初期投資に見合う効果が期待できます。
◆ 住友林業における換気設備のアップグレード(e-KI*KUBARIの導入)
前述のように、住友林業では長年第3種換気が標準でしたが、近年その弱点を補うためオプションで熱交換型の第1種換気システムを導入できるようになりました。2022年11月以降、住友林業の新築では「エコ空調」システムの一環としてe-KI空調システム(仮称:e-きくばり)という熱交換換気ユニットを選択可能になっています。このシステムは最大85%の熱交換率を持つ全熱交換型換気で、冷暖房時のエネルギーロスを大幅に減らすだけでなく、湿度も回収して室内環境を安定させることができます。住友林業の従来型換気では夏に高温多湿の空気を、冬に乾燥した外気を入れていたため「換気が最大の弱点」とも言われてきましたが、e-キューブの採用によりその点が改善されつつあります。実際、住友林業で家を建てるなら「これからの時代、e-KI換気を100%入れた方が良い」という声もあるほどで、快適性・省エネ性の向上には換気設備のグレードアップが有効です。
しかし一方で、「第3種換気でも十分」「第1種換気は電気代がかかるから良くない」といった意見や、住友林業には外気を積極的に取り入れる**「涼温房」**という考え方があり高気密でなくても良いという主張も一部にはあります。これは、昔ながらの風通しの良い家づくりを重視する考え方ですが、近年の高断熱高気密住宅とは相容れない部分もあります。住友林業でも今後は時代の要請に応じて換気システムの標準仕様が見直されていく可能性があります。実際、2024年現在では熱交換換気の採用率も高まりつつあり、省エネ等級の基準強化に対応する動きがあります。住宅メーカーや設計者としては、建てる地域の気候や施主の要望に合わせて、標準仕様のままでいくか熱交換型にアップグレードするか検討することが重要です。初期コストとランニングコスト、そして得られる快適性・健康リスク低減効果を総合的に比較し、最適な換気方式を選択することが求められます。
◆ 標準仕様での換気改善策
仮に住友林業の標準仕様(熱交換なし)で住宅を設計・施工する場合でも、いくつかの工夫で換気性能や湿気対策を向上させることができます。まず給気口の追加や配置調整です。設計段階で各居室の用途や広さに応じて必要な給気口を適切な数配置し、一箇所に過大な負荷がかからないようにします。例えばLDKなど広い空間では給気口を2ヶ所以上設けて均等に外気を取り入れることで、室内の空気循環が改善します(実際、住友林業の施工例でもLDKに2箇所の給気を採用しているケースがあります)。次に換気風量の調整です。24時間換気システムには強弱の設定が可能な機種もあり、季節によって風量を調節することが効果的です。冬場は必要最低限の風量に抑えて過度な冷気流入を防ぎ、夏場は逆に除湿のために適切な換気量を維持するといった運用が考えられます。住友林業の施主の中には、全ての給気口を半開状態(1段階)にし換気ファンを弱運転に切り替えて寒さを緩和した例もあります。ただし換気量を下げすぎると空気の滞留を招くため、法定換気量は下回らない範囲で行うことが重要です。
さらに、断熱性能の強化も換気によるカビリスク低減に寄与します。壁や天井、床下の断熱材を厚くし、窓を高断熱サッシにすることで室内外の温度差を縮小できます。これにより結露発生が抑えられ、換気による冷却効果とも相まってカビの発生要因を減らせます。断熱強化は初期コストがかかるものの、建物の長寿命化と快適性向上につながるため、標準仕様で換気を補完する有効な手段です。その他、計画換気の経路を最適化することも大切です。室内の空気が淀みなく流れるよう、給気口から排気口までの動線を考慮した間取りにする、各室内ドアの下部に通気用の隙間やガラリを設ける、湿気のこもりやすいクローゼット内にも換気口やスリットを設ける等の工夫が有効です。これらはコストを大きく増やすことなく実現できる換気改善策であり、標準仕様の換気システムでも適切な設計施工によりカビに強い住宅に近づけることが可能です。
カビ発生を防ぐための湿気管理と換気のポイント
最後に、住宅内でカビを発生させないための日常的な湿度管理と換気運用のポイントを整理します。住宅メーカー・施工業者としては施主に対して適切なアドバイスができるよう、以下の点を押さえておきましょう。
◆ 室内の湿度調整(加湿・除湿・換気のバランス)
カビを防ぐ基本は室内の相対湿度を適切に保つことです。目安としては年間を通じて室内湿度をおおむね50~60%に維持するのが理想とされています。湿度が高すぎるとカビ繁殖のリスクが高まり、低すぎると人体に悪影響や静電気によるホコリ付着が増えるためです。梅雨時や夏場には除湿器やエアコンのドライモードを活用して湿度を下げ、必要に応じて計画換気以外にも窓開け換気で湿気を逃がします。各部屋に湿度計を設置して定期的に数値を確認し、湿度が上がりすぎていれば除湿や換気を、乾燥しすぎていれば加湿器で調整するようにします。特に入浴後や調理中・後は一時的に湿度が急上昇するため、短時間でも積極的に換気扇を回したり窓を開けたりして湿気を素早く排出する習慣をつけましょう。冬場は逆に結露防止のため室内を過加湿にしないよう注意が必要ですが、乾燥しすぎるとウイルス感染リスクも高まるため、適度な加湿とのバランスが肝心です。
◆ フィルターの定期清掃・交換の重要性
24時間換気システムを正常に機能させるには、給気口・排気口のフィルター清掃を定期的に行う必要があります。メーカーや環境にもよりますが、少なくとも3ヶ月に1度程度はフィルターを点検し、ホコリが目立つようであれば掃除または交換しましょう。フィルターが汚れで目詰まりすると新鮮な空気が取り込めず換気量が低下し、換気バランスも崩れてしまいます。その状態で放置すると室内の空気質が悪化するだけでなく、フィルター自体にカビが繁殖してしまうこともあります。実際、長期間掃除されなかった給気フィルターは真っ黒になり、そのまま外気を通して室内に送り続ければ健康に悪影響を及ぼす恐れがあります。各給排気口だけでなく、浴室暖房換気乾燥機(バス換気)などを設置している場合はそのフィルターや内部ファンも定期点検が必要です。また、機械換気本体に熱交換素子があるタイプでは、メーカー推奨の周期で専門業者によるクリーニングや素子交換を検討します。フィルター清掃は地味な作業ですが、24時間換気の効果を十分に発揮させ、カビやホコリだらけの空気を吸わずに済むようにするために欠かせません。
◆ 給排気口の管理と通気の確保
換気口(給気口・排気口)まわりの管理も見落とせないポイントです。まず、換気口を塞がないことが基本です。家具を換気口の前に置いたり、カーテンで覆ったりしないようレイアウトに注意します。新築時には換気口の位置と数を図面上で確認し、収納や家具配置計画と干渉しないようにしておきます。また、入居後も季節によって「寒いから」「虫が入るから」と給気口をテープで目張りする方がいますが、前述の通り換気経路を断つことは絶対に避けましょう。どうしても風量を調節したい場合は、メーカー純正の風量調整機能(シャッター等)を使い、極端に閉塞しない範囲で行います。
さらに、換気口そのものの清掃も定期的に行います。給気グリルや排気口のルーバー部分にはホコリが付着しやすいので、月に1回程度はハンディモップや掃除機で埃を除去しましょう。キッチンのレンジフードやトイレ・浴室の換気扇も、フィルターやファンに油汚れや埃が蓄積すると風量低下とカビ臭の原因になります。年に1~2回はカバーを外して掃除し、難しい場合は専門のクリーニング業者に依頼すると良いでしょう。排気ダクトの出口(屋外フード)も詰まりがないか見て、クモの巣やゴミがあれば取り除きます。これらの手入れによって換気経路の通風が確保され、常に計画通りの換気性能が発揮できるようになります。
◆ 建築時・リフォーム時に考慮すべき換気計画のポイント
設計・施工段階での換気計画も、将来のカビリスクを左右します。まず、湿気の多い場所への対策です。浴室・脱衣室、キッチン周り、押入れ、北側居室、床下空間などは特に湿気が溜まりやすい箇所です。これらの場所には十分な換気が行き届くよう換気口や吸気・排気経路を配置し、必要ならば局所換気扇の増設も検討します。例えば押入れ内部に通気口を設けたり、床下換気を機械的に行うユニットを導入することで、見えない部分の湿気対策が可能です。次に断熱と気密の徹底です。壁体内や天井裏への湿気侵入を防ぐため、防湿シートを切れ目なく施工し、高性能な断熱材で包み込むようにします。気密処理が甘いと換気計画外の経路で湿気が出入りし、壁内結露の原因となるため注意します。
窓の結露対策も重要です。ペアガラスや樹脂サッシを採用する、ガラスに断熱フィルムを貼る、といった措置で表面温度を上げて結露を減らします。加えて全館空調や除湿機能の活用も検討します。エアコンと24時間換気を併用することで空気を攪拌しながら除湿・換気ができ、エアコンだけでは空気が循環せず湿気が偏りがちな問題を解消できます。近年は空調と換気を一体化したシステムも登場しており、そうした設備を導入すれば温湿度管理と換気制御が自動化されカビ対策に有効です。
リフォーム時には、既存住宅で湿気やカビが問題になっている箇所をしっかり調査し、原因に応じた対策を講じます。必要に応じて断熱材の追加施工や換気経路の新設・増強を行い、カビが再発しないよう改善します。床下や壁内部にカビが広がっていた場合は適切な防カビ処理を施しつつ、再び同じ状況にならないよう換気計画を見直します。住宅の寿命は湿気との戦いと言っても過言ではありません。設計・施工段階から「通気」と「防湿」の視点で細部まで配慮し、完成後も定期点検で問題を早期発見・対処することが大切です。
まとめ
住友林業の住宅における換気設備(第3種換気、および3階建てでの第1種換気)の特徴とカビ発生リスクについて詳しく解説しました。木造住宅の快適性と長寿命化のためには、換気設備の仕組みを正しく理解し適切に運用・管理することが不可欠です。たとえ高性能な住宅であっても、24時間換気がしっかり稼働していなければ室内にカビが生えてしまう可能性があります。換気は空気を入れ替えるだけでなく湿度コントロールという重要な役割を担っており、日々の些細な管理の積み重ねが「カビ問題」を未然に防ぐ鍵となります。
住友林業の第3種換気はシンプルで扱いやすい反面、湿気の多い日本の気候下では注意が必要です。本記事で述べたように、負圧状態での湿気流入や換気不足による結露には十分配慮し、必要に応じて除湿や断熱強化などの対策を講じましょう。3階建て住宅の第1種換気も「機械換気だから安心」ではなく、フィルター清掃や機器点検を怠らず、適切な湿度管理を心掛けることが大切です。換気方式にかかわらず、基本は24時間換気を止めないこと、そして室内を高湿にしないことです。
住宅メーカーや施工業者としては、換気計画を提案する際に標準仕様とオプションの違いをきちんと説明し、施主のニーズに合った選択肢を提示することが求められます。住友林業のようにデザイン性と快適性を両立させるには、見えない部分で支える換気・断熱・防湿の技術が欠かせません。適切な換気設備の採用と丁寧な施工、そして入居後のメンテナンス支援まで含めて住宅性能をトータルに高めることで、カビの発生しにくい健やかな住環境を実現できるでしょう。住まい手にも換気の重要性を理解してもらい、協力して管理を続けることで、住友林業の住まいの魅力である木の温もりと心地よさを長年にわたり維持していくことが可能になります。住宅の設計・施工に携わるプロとして、本記事の内容を踏まえた換気計画とカビ対策のポイントをぜひ実践に役立ててください。
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